ペチカ
作詞 : 北原白秋 / 作曲 : 山田耕筰
北海道富良野市
雪の降る夜は 楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
昔むかしよ 燃えろよ ペチカ
雪の降る夜は 楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ おもては寒い
栗や栗やと 呼びます ペチカ
雪の降る夜は 楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ じき春来ます
いまに楊(やなぎ)も
萌(も)えましょ ペチカ
雪の降る夜は 楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ 誰(だれ)だか来ます
お客さまでしょ うれしい ペチカ
雪の降る夜は 楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
火の粉パチパチ はねろよ ペチカ
(大正12年)
星の界(よ)
作詞 : 杉谷 代水 / 作曲 : コンバース
米国フェアバンクス
月なき み空に きらめく光
嗚呼(ああ)その星影 希望のすがた
人智(じんち)は果(はて)なし
無窮(むきゅう)の遠(おち)に
いざその星影 きわめも行かん
雲なき み空に 横(よこ)とう光
ああ洋々たる 銀河の流れ
仰(あお)ぎて 眺(なが)むる
万里(ばんり)のあなた
いざ棹(さお)させよや
窮理(きゅうり)の船に
(明治43年)
菩提樹(ぼだいじゅ)
作詞 : 近藤朔風 / 作曲 : シューベルト
NZ ロトルア
泉にそいて 繁る菩提樹(ぼだいじゅ)
慕(した)い ゆきては うまし夢みつ
幹には彫(え)りぬ 愛の言葉
うれし悲しに 訪(と)いし そのかげ
今日もよぎりぬ 暗き小夜中(さよなか)
真闇(まやみ)にたちて 眼(まなこ)とずれば
枝はそよぎて 語るごとし
「こよ いとし侶(とも) ここに幸あり」
面(おも)をかすめて 吹く風寒(さむ)く
笠は飛べども 棄(す)てて急ぎぬ
はるか離(さか)りて 佇(たたず)まえば
なおも聞ゆる
「ここに幸あり ここに幸あり」
(明治42年)
蛍(ほたる)
作詞 : 井上 赳 / 作曲 : 下総皖一
東京都八王子市
蛍のやどは 川ばた楊(やなぎ)
楊おぼろに 夕やみ寄せて
川の目高(めだか)が 夢見る頃は
ほ ほ ほたるが 灯(ひ)をともす
川風そよぐ 楊もそよぐ
そよぐ楊に 蛍がゆれて
山の三日月 隠れる頃は
ほ ほ ほたるが飛んで出る
川原のおもは 五月(さつき)の闇夜
かなたこなたに 友よび集(つど)い
むれて蛍の 大まり小まり
ほ ほ 蛍が飛んで行く
(昭和7年)
蛍の光
訳詩 : 稲垣千頴 / スコットランド民謡
北海道美瑛町
蛍(ほたる)の光 窓(まど)の雪
書(ふみ)読む月日(つきひ) 重ねつつ
何時(いつ)しか年も すぎの戸を
あけてぞ今朝(けさ)は 別れ行く
止るも行くも 限(かぎ)りとて
互(かたみ)に思う 千萬(ちよろず)の
心の端(はし)を 一言(ひとこと)に
幸(さき)くとばかり 歌(うと)うなり
筑紫(ちくし)のきわみ 陸(みち)の奥
海山遠く へだつとも
その真心は へだてなく
ひとえに尽くせ 国のため
千島(ちしま)の奥も 沖縄も
八洲(やしま)のうちの 守りなり
いたらん国に いさおしく
つとめよわがせ 恙(つつが)なく
(明治14年)