虫のこえ
文部省唱歌
東京都清瀬市
あれ 松虫が鳴いている
ちんちろ ちんちろ
ちんちろりん
あれ 鈴虫も鳴き出した
りん りん りん りん
りいん りん
秋の夜長を 鳴き通す
ああ おもしろい 虫のこえ
きりきり きりきり こおろぎや
がちゃがちゃ がちゃがちゃ
くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょん ちょんちょん
すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああ おもしろい 虫のこえ
(明治43年)
村のかじ屋
文部省唱歌
北海道弟子屈町
しばしも止まにずに槌(つち)打つ響き
飛び散る火の花 はしる湯玉(ゆだま)
ふいごの風さえ 息をもつがず
仕事に精出(せいだ)す 村のかじ屋
あるじは名高き いっこく親爺(おやじ)
早起き早寝の 病(やまい)知らず
鉄より堅(かた)しと ほこれる腕に
勝(まさ)りて堅きは 彼がこころ
刀はうたねど 大鎌(おおがま)小鎌
馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐわ)
鋤(すき)よ 鉈(なた)よ
平和のうち物 休まずうちて
日ごとに戦う 懶惰(らんだ)の敵と
かせぐに追いつく 貧乏なくて
名物かじ屋は 日々に繁昌(はんじょう)
あたりに類(るい)なき 仕事のほまれ
槌(つち)うつ響きに まして高し
(大正元年)
村祭
文部省唱歌 / 作曲 : 南 能衛
東京都府中市
村の鎮守(ちんじゅ)の 神様(かみさま)の
今日はめでたい お祭日(まつりび)
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
朝から聞こえる 笛太鼓(ふえたいこ)
年も豊年(ほうねん) 満作(まんさく)で
村は総出(そうで)の 大祭(おおまつり)
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
夜まで賑(にぎわ)う 宮の森
治(おさ)まる御代(みよ)に 神様の
めぐみ仰(あお)ぐや 村祭
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
聞いても心が 勇(いさ)み立つ
(明治45年)
めえめえこやぎ
作詞 : 藤森秀夫 / 作曲 : 本居長世
埼玉県横瀬町
めえ めえ 森のこやぎ 森のこやぎ
こやぎ走れば 小石にあたる
あたりゃ あんよが あ痛い
そこで こやぎは めえと鳴く
めえ めえ 森のこやぎ 森のこやぎ
こやぎ走れば 株こにあたる
あたりゃ 頭(あんま)が あ痛い
そこで こやぎは めえと鳴く
藪(やぶ)こ あたれば 腹こがちくり
朽木(とっこ) あたれば 頸(くび)こが折れる
折れりゃ こやぎは めえと鳴く
(大正10年)
もみじ
作詞 : 高野辰之 / 作曲 : 岡野貞一
山梨県富士河口湖町
秋の夕日に 照る山もみじ
濃いも薄いも 数ある中に
松をいろどる 楓(かえで)や蔦(つた)は
山のふもとの 裾模様(すそもよう)
渓(たに)の流れに 散り浮(う)くもみじ
波にゆられて 離(はな)れて寄って
赤や黄色の 色さまざまに
水の上にも 織(お)る錦(にしき)
(明治44年)
桃太郎
作詞者 : 不詳 / 作曲 : 岡野貞一
福島県伊達市
桃太郎さん 桃太郎さん
お腰につけた 黍団子(きびだんご)
一つわたしに 下さいな
やりましょう やりましょう
これから鬼(おに)の 征伐(せいばつ)に
ついて行くなら やりましょう
行きましょう 行きましょう
あなたについて 何処(どこ)までも
家来(けらい)になって 行きましょう
そりゃ進め そりゃ進め
一度に攻(せ)めて 攻めやぶり
つぶしてしまえ 鬼が島
おもしろい おもしろい
のこらず鬼を 攻めふせて
分捕物(ぶんどりもの)を エンヤラヤ
万々歳(ばんばんざい) 万々歳
お伴の犬や 猿(さる)雉子(きじ)は
勇(いさ)んで車を エンヤラヤ
(明治44年)